ビオラ、すずらん、年下の君
右手には、いつの間にか3杯めのカクテル『カルーアミルク』のグラス。そして私は今、大きなビーズクッションにもたれ、ものすごくリラックスした状態になっているのだった。


「羽田さあん、やっぱ、ここいいですよ!最初はヤバイかなって思いましたけど、すごく寛げますもん!普通お店でこんなこと出来ないじゃないですか」


すっかり酔って上機嫌の私が足を伸ばしたまま、バタバタさせると膝掛けがずれて脚が丸見えになった。


「あっこら、嫁入り前だろ!」


井戸から出てきた貞子みたい四つん這いになって羽田さんが私に近付き、ズレた膝掛けを直した。


飲んでないくせに、顔が赤くなってる。この人、割とすぐ赤くなる。
赤面症気味なのかな?


シメのデザートはお店イチオシのピーチメルバを選択。甘いものは別腹の口だから1つずつ頼んだ。


「うーん、ピーチと木苺がバニラにマッチして、これぞパフェのダンス天国や~」

「羽田さあん、それイマイチ!メルバに失礼!」


あまりの美味しさに私は、興奮してスプーンを振り回した。


「ん〜、お酒の後のスイーツって最高!羽田さん、飲めなくて可哀想ですね~人生損してますよ」


「…」


私はハッとした。






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