ビオラ、すずらん、年下の君
事務職の私は定時で帰るけれど、所長代理という役割を持たされている羽田さんは毎晩10時近くまで仕事している。それはサービス残業なんだって私も知ってる。
羽田さんが言うとおり、世間からしてみればブラック企業に間違いない。
「…でも、佐原さんが来てくれて、俺の生活は一変した。義務で頑張るだけの無味乾燥な日々が…」
羽田さんが一瞬口籠った。
「…佐原さんの為にコーヒー淹れたり、一緒に3時のおやつを食べたり。そんな時間にすごく幸せを感じて、仕事も頑張ろうって思えるようになった…」
羽田さんが、ぱっと顔を上げた。
眼鏡の奥の熱い目は私にロックオンされていた。
わ、わ、わ…!
これって…もしかして…もしかするも
私の26年の人生の中でも、めったにない貴重な……瞬間かも。
それなのに…
私はモジモジした。
恥ずかしかったわけじゃなくて…
実はマイ膀胱が、急に満タンランプを点滅させてくれちゃったんです……
タイミング悪~!
おトイレ行きたいよ~お!
「でさ、佐原さん」
「うん?」
こんな時でも少しでも可愛らしく見えるよう、目を大きく開き、小首を傾げる佐原和香子・26歳、哀しき女の習性……
なんちゃって。
羽田さんが言うとおり、世間からしてみればブラック企業に間違いない。
「…でも、佐原さんが来てくれて、俺の生活は一変した。義務で頑張るだけの無味乾燥な日々が…」
羽田さんが一瞬口籠った。
「…佐原さんの為にコーヒー淹れたり、一緒に3時のおやつを食べたり。そんな時間にすごく幸せを感じて、仕事も頑張ろうって思えるようになった…」
羽田さんが、ぱっと顔を上げた。
眼鏡の奥の熱い目は私にロックオンされていた。
わ、わ、わ…!
これって…もしかして…もしかするも
私の26年の人生の中でも、めったにない貴重な……瞬間かも。
それなのに…
私はモジモジした。
恥ずかしかったわけじゃなくて…
実はマイ膀胱が、急に満タンランプを点滅させてくれちゃったんです……
タイミング悪~!
おトイレ行きたいよ~お!
「でさ、佐原さん」
「うん?」
こんな時でも少しでも可愛らしく見えるよう、目を大きく開き、小首を傾げる佐原和香子・26歳、哀しき女の習性……
なんちゃって。