ビオラ、すずらん、年下の君
「恋?」
「2組の袴田涼子はどうすんだよ」
「…は?どうするもこうするも、袴田のことは断ったぜ。受験だから友達のままいようって。
お前、人に言うなよ、この話」
「分かってるって。でも、中田あずみによると、袴田涼子は受験が済んだらお前と付き合えると思い込んでるらしい」
「マジか?中田がテキトーに言ってるだけじゃね。タダの友達としてならいいけど、俺、今のところそんなつもりねえよ」
「ガー!お前のその言い方、罪だわ。今のところって…袴田涼子、カワイイじゃん。あんなのなかなかいねえし、もったいなくね?」
「いちいち、フルネームで呼ぶな、キモイ。なら、お前が付き合えばいいじゃん」
「うわ。やなこと言うね、お前。女心を弄ぶと終いには刺されるからな?」
期末テスト最終日で部活はなし。
親の海外転勤で、春からこの高校に編入した俺が1番に仲良くなったのは、この沢村。
沢村は学年トップの秀才。メガネを掛けてて生徒会やってるいかにもガリ勉野郎だけど、なせがウマが合う。
でも、俺は(メンバーの足りない)サッカー部に入った(顧問に懇願された)から、一緒に下校するのは珍しい。