ビオラ、すずらん、年下の君
「俺、何度もラインしようかなって思ったんだけど、やっぱ悪いかなって」
「え…」
聡太君の信じられない言葉。
クーラーの低いモーター音がやけに大きく感じる。
(全然悪くない。ラインしてよ)
簡単な言葉なのに、私は緊張し過ぎてて声が出なかった。
バスに一緒に乗っていた時みたいに楽しくお喋りしないのに。
高校生の子をオトコとして意識し過ぎててる…バカみたい。
(ラインとか言われて、何を期待してるの?)
今まで心の片隅にあったネガティブな気持ちが大きくなり、私は黙り込んでしまった。聡太君が俯く。
なんだか気まずい雰囲気。
聡太君がGパンの尻ポケットから
スマートフォンを取り出した。
画面をなぞる。友達からメッセージがきたのかな?返信を打っているみたいだ。
人がいるのに、今どきの若い子は平気でそういうことするんだ…
私は少し呆れた。
すると、バックの中の私のスマートフォンが、メッセージ受信を知らせる。
「あ…」
スマホの画面を見た私は、つい笑ってしまった。