ビオラ、すずらん、年下の君
これって…いきなりプロポーズ?


いや。人だったというか、人達だった。


「ちゃーす」
「お、浴衣だあ」
「わけぇ」

口々にいうのは3人の聡太君のお友達。

なんと、お祭りに行くのは2人だけじゃなかったんだ…


なんだ、もお、それならそうと早く言ってよ。期待しちゃったじゃん…


少し腹が立ったけど、そんなことはおくびにも出さない。ニコニコと笑顔を絶やさない私。


「ごめんね。こいつら付いてきやがって。同級生の奴らなんだけど…」


頭をかく聡太君は少し困り顔。

そうか。成り行きで仕方ないことだってあるよね。


「こちら、佐原和香子さん。OLさん。まあ幼馴染みみたいなもん」


ん、幼馴染?いくらあの写真があるからって…ちょっと強引。ま、いっか。


超簡単な聡太君の紹介を受けた私は、ぺこりと頭を下げた。


「佐原といいます。初めまして。すみません。なんかお邪魔かもしれないけど、よろしくお願いします」


「あ、どうも」
「こっちこそ、よろしくお願いします…」


改まって挨拶されて、照れ臭くなってしまったのか、彼らはごにょごにょと口の中で返事をする。

純情な子たちなんだな、と私は好感を持った。


4人の若い男の子と一緒に祭り会場をそぞろ歩く私は、まるで引率者。
聡太君と同じ進学校に通う子たちだから、皆、育ちが良さそう。服装や髪型も気を使っている感じ。







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