ビオラ、すずらん、年下の君


聡太君は、ちゃんと身支度を済ませていて、髪もカッコ良く無造作な感じにしている。

眉を描いてるわけでもないのにキリッとカタチいいし、肌が綺麗で羨ましいな。


そんな聡太君が美味しそうに食べているのは、白いご飯、味噌汁、焼き鮭、ほうれん草のおひたし、出し巻き卵。(うちのお母さんの出し巻き卵は絶品だからね)


私はいつも朝はホットココアだけ。食べるのが面倒臭いんだ。
でも今日からは、朝ご飯食べようかな?


「お母さん、私のお茶碗ちょうだい」


「珍しいわね。和香子がお化粧よりご飯を優先するなんて」


お母さんがクスクス笑う。
余計なこと言わないでよ、と私は頬っぺたを膨らませた。


「おはよう。飲み過ぎたから味噌汁だけでいい」


お父さんがのっそりとリビングに顏を出した。
すでに白いワイシャツにネクタイを締めている。


「深夜に帰宅したから、聡太君とはまだ顏を合わせていないのよね、お父さん、こちら吉田煙草店のお孫さん。聡太君」


「おはようございます」


お母さんの紹介で、聡太君がぴょこんと頭を下げた。あ、もしかしてちょっと引いてる?


「ウム、おはよう」

実はうちの父上、今は白髪混じりのメタボおやじだけれど、若かりし頃はレスリングの選手であり、ちょっとコワモテ。






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