ビオラ、すずらん、年下の君
学校から帰ると、ランドセルを放り投げて、よーちゃんのゲージの前にダッシュ。
とびらに付いた鍵を外してやると、よーちゃんは、待ってました!と言わんばかりに巨大黒豆みたいなクチバシで器用に持ち上げる。


よーちゃん用止まり木に乗せてあげると、よーちゃんは大はしゃぎ。

左右うろうろ、クチバシをフリフリ、喜びダンス。そんなお遊びタイムが小学生だった私の至福の時。


ただ、お世話は結構大変で、毎週のように近くの動物病院に行き、爪を切ってもらっていた。
よく私もお母さんにくっついて、よーちゃんの爪切りを見たものだ。

よーちゃんは、犬みたいにお手、おかわりして本当にお利口さんだったな。


そのよーちゃんが今朝、夢に出てきた。


よーちゃんがキッチンに立つ私に向かってトコトコ歩いてくる夢。


久しぶりに会えたね!って私が言ったら、羽をバタつかせて『ヨーチャンダヨ!』て誇らしげに応えてくれた。


目覚めた時、寝ぼけ眼をこすりながら、私には夢を見た原因がはっきりとわかっていた。

聡太君によーちゃんの想い出話をしたからだって。






< 95 / 159 >

この作品をシェア

pagetop