ビオラ、すずらん、年下の君
昨晩。
お母さんもお爺ちゃんもお父さんも不在で、聡太君と2人きりで夕飯食べたんだ……
そんなの聡太君がうちに来てから初めてのことだった。
メニューは私が作ったミートソーススパゲッティと水菜のサラダ。…ミートソースは市販のやつで、それだけだと淋しいから冷凍の豚挽肉足した。う〜ん、簡素。
でも、家にはろくな食材がなくて。仕事から帰ってきたばかりだし、小雨が降り出すし、わざわざスーパーに買い出しに行く気力がなかった。家にはパスタとレトルトしかない。
『聡太君、夕飯パスタでいい?(っていうかパスタしかないんだけど)』
居間でスマホをいじっていた聡太君に訊くと、
『うん。パスタがいい』
との答え。
向かい合って、テレビを見ながら食べた。画面ではお笑い芸人達が馬鹿笑いしてるけど、なんか黙々と食べた。ちょっと気まずい空気が……
聡太君の濃くて形の良い眉は、彼を少し気難しい感じに見せていて。頭が良くてルックスも良い男の子って、実は私、少し苦手。
あ、嫌いって意味じゃなくて、近寄り難く感じてしまう。
それにしてもトマトソースのパスタって、喋りながら綺麗に食べるの難しい気がする。
油断すると赤いソースが飛び散りそうになる。
聡太君は黙々と食べてて。