おとなりバンパイア



「じゃあ…マスクは?」


「そうする」


と、手のひらをあたしに向ける来。

「?」

「マスク、オレ持ってないもん」

「あたしだって持ってないよ。もーいいよ!そろそろつくし」

「む…」


なんだかふてくされてしまった。

…かわいいぞ。


なんだかんだと注目を集めながら歩き、あたしは保健室の扉を開けた。


「失礼しまーす。って誰もいないし」


「誰もいなくていいよ」


来はそう言いながら、ガチャと鍵をかけた。


「え、なんで鍵…」


そう言いかけたとき、来が両手であたしの肩を押した。

トンっと背中が薬品が入っている棚にぶつかる。


「え、なに、ら、来…?」


目の前にある来の表情には相変わらず変化がなくて感情が全く読めない。


来さんはいったいなにをしてるの…。


「っ、うっ?」

ゆっくりと近づいてくる来の顔。

ま、まさかキス!?

なんでイキナリ!?


と思ったら、顔を逸れて首筋辺りに来は顔を埋めてくる。


ふぅ、と温かい吐息が首にかかってくすぐったい。


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