逆転LOVER☆
今宵は王子様と2人で。
夜になると辺りはカップルでいっぱいだった。
幸せそうに手を繋ぐ男女、
想いが繋がった男女で会話が交差する人混みの中、
あたしは佐野先輩の名前に過剰に反応する。
「さっき佐野先輩見た~!!!」
頬を赤らめて話す女の子は、
少し前のあたしと同じで見てるだけで幸せなんだろう。
「綺麗な人と歩いてたよね?!誰だろ~!でも凄いお似合いだった!」
思わず足を止める。
あの後、その人の所へ行ったんですか・・・先輩。
「むぅ?どうかした?」
市川さんと三澤くんに悟られない様に、
あたしは歩き出した。
だけど頭に浮かぶのは先輩の事だらけで、
動かす足がいつもの数倍重く感じた。
「市川さん、あたしちょっとトイレに・・・。後で合流するので先に行ってて下さい。」
「うん!じゃあ後で連絡して?適当に見てるから!」
ごめんなさい。市川さん。