逆転LOVER☆
ゆっくり。ゆっくり時間は流れて、
先輩もあたしも特に話す事はなかった。
先輩の胸の音がよく聞こえて、
静かな夜に川の音と大きなまん丸の月。
このまま時が止まればいいのに。
________…そう思った時だった。
「片瀬ー、みんなが・・・」
帰りが遅かったあたしを探しに来たのか、
三澤くんはあたし達を見て言いかけた言葉を飲んだ。
ドクン。
さっきとは違う胸の高鳴りがあたしを襲う。
よりによってこんな所見られるなんて・・・。
三澤くんの声で気付いた佐野先輩も、
あたしを解放すると軽く頭に手を乗せ歩いていく。
「むぅちゃんの指ありがとね手当てしてくれて」
すれ違いざまに先輩が三澤くんに言った・・・。
見てたんですか・・・?
先輩・・・、あたしの事気付いてたんですか・・・?
遠ざかる背中、
近くなっては離れてその繰り返しで、
忘れようとすれば先輩は優しくする。
それに酔いしれて前に進めないあたしは、
多分1番の馬鹿なんです。