相合傘〜黒板のジンクス〜


「まあ、びっくりされるのも仕方ないよね。僕自身もびっくりしてるくらいだしね。」


「兄貴はほんと変わったよな。あの頃の面影が全くないよ。」



兄弟でもこんなに変わるんだね。



「ごめんな、姫夏莉。あの頃は」


「なんで‥今更‥」



「うん。そう思われても仕方ないと思ってる。姫夏莉にちゃんと似合う男になりたくて一度婚約を取り消してもらったんだ。」



「そ、それだけで?」


「そう。それだけ。だけど、一度婚約を無くすわけだし姫夏莉が違う人と婚約される可能性もあった。だから、僕の代わりに耕祐を姫夏莉の婚約者にしたんだ。僕が姫夏莉に似合う夫になるために。」




ふと、藤堂さんを見ると目に涙を溜めていた。
その表情は切なそうにも見えた。




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