【短】あたしを姫と呼ばないで!?


そしてあたしが向かう先。


いつだってあたしの味方。



「助けてー!!!
 コーーーーノーーーーハーーーー!!!!」



どこぞの借金取り並に風紀員室のドアを叩く。


委員会のある日以外はコノハ以外に風紀員室にいる人がいないことをあたしは知っている。


だからこそ、このような迷惑な行為ができるのだ。



でも今日はどうやら違うようで……



「突然どうしたの?
 とにかくことりは早く入りなよ。
 それとキミはここから出て行ってね?」


「なによ!
 あたしとその子の何が違うっていうのよ!」


「シツレイシマシター」



修羅場(?)に遭遇してしまったみたいだ。


それなりにかわいい女の子とコノハの押し問答に巻き込まれぬように、と退散の姿勢を。


しかし、そうは問屋が卸さない。


コノハが逃げるあたしの腕を掴む。



「わぁーー!!!
 待って、待って!!!」


「面倒事には巻き込まれたくない……」


「それことりが言っちゃう!?
 “面倒事”が後ろから来ているよ?」


「……いやぁぁぁあぁ!!!
 そうだったぁあああああぁあ!!!
 早く部屋の中に入れさせてぇぇぇええ!!!」



女の子を押しのけて、風紀員室の中へ逃げ込み、鍵をかける。


ドアの外から聞こえる女の子の叫ぶ声には悪いと思うけど、へーきへーき。


あとからイケメンたちが来るはずだもの、それで許してください!



取り敢えず、ホッと一息ついて来客用の椅子に座る。


生徒会室にも同じものはあるんだけれど、ふかふかしていてあたしは気に入っていたりもする。


コノハもあたしの目の前の椅子に座って、話し始めた。



「ハハ、俺が言うのもなんだけど ことりって何気にひどいよね」


「それ本当にコノハは言えないからねー?」


「分かってるって。
 で、今日はどうしたの?」


「見て分からない?
 ……って分からないよねぇ。
 一言で言えば『チョコレート争奪戦!』に巻き込まれただけだよ」


「それはご愁傷さま」


「コノハも今日は大変だったでしょ?
 お互いお疲れ様〜」


「アハハ、そうだね。
 でも生徒会メンバーにはかなわないよ」


「そう言って〜!
 コノハだって人気は負けてないから大丈夫だって!
 ホントにコノハが生徒会メンバーになっていれば……!」


「ことりはよくそう言うけど、ことりだって人気だよ?
 だから生徒会メンバーになれたんだって」


「……そう言われても実感ないよ〜
 あんなファンクラブだってないし」


「ことりはああいうの嫌がるでしょ?
 だから静かに彼らは活動しているんだよ」


「……まるでコノハもその中にいるみたいな言い方だね」


「アハッ、それはどうでしょう?」



あたしがジトリと睨みつけると、クスクスと笑ってかわすコノハ。


十中八九 入っていると見た!


けれど追求するのもアレなのでそれ以上は聞かないことにする。



「まぁ、これからどうするつもり?
 いつまでもここに籠城出来ないでしょ?」


「あっ!
 そのことを相談しに来たんだった!」


「……忘れちゃダメでしょ」


「…………てへっ?」


「ハイハイ、かわいこぶらないー
 とにかく今は解決策を見つけようねー」



呆れたように笑って、あたしの頭を撫で回したコノハ。


やっぱり頼れる存在である。


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