【短】あたしを姫と呼ばないで!?

そんなことが放課後になるまで何度も何度も。


用意していた割と大きめの5つの紙袋も使いきってしまった。




あたしは忘れぬうちにチョコを渡しておこうと生徒会の仕事の準備をしている双子に話しかける。



「おーい、リクさんや」


「なんだい、ことりさんや」


「わしを仲間はずれにするとはな」


「……って! 茶番しはじめない!」


「「今のは姫が悪いじゃーん」」



口をとがらせブーブー文句を言い始める双子に頭を抱えたくなる。


が、チョコを渡すまでは諦めませんっ!



「これ!」



二人分の紙袋を突き出す。


ぱぁぁぁ! なんて効果音が聞こえた。


二人の背景に花が舞っているのが見える。


そんなにチョコが嬉しいのかな?


あたしの目の前で紙袋の中からチョコを取り出している。



が、すぐに膝から崩れ落ちた。



えっ? なになに??? 何が起きました!?



驚きのあまり双子を凝視していると、絶望の色に染まった双子がユラリと立ちあがった。



「これ姫のじゃないじゃん!!!」


「いらねえよ!!!
 もう毎年チョコなんて見飽きたわ!!!」


「少しくらいは他の奴と違うものくれよ!」


「そもそもアンタら僕とカイの違い分かっていないじゃん!!!」


「「てことで姫からのチョコは!?」」


「何が“てことで”なんですか〜?!」



地団駄を踏んだ挙句あたしの目の前で土下座をしはじめた双子に開いた口が塞がらない。



プライドは!?


山よりも高いですよね!?


海よりも深いですよね!?




えっ!?


なにこれ……ドッキリ???



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