【短】あたしを姫と呼ばないで!?
が、あたしはもう一人の生徒会メンバーの存在を忘れていた。
「…………えっ?」
扉が開く音が聞こえ、小さな戸惑いの声のあと、ドサリと何かが落ちる音。
それらは全て後輩のユウトくんから発せられたものだった。
“何か”はユウトくんが手に持っていたのであろう紙袋を落として、その中に入っていたチョコレートがこぼれ落ちた音。
「ユ、ユウトくん?」
恐る恐る話しかけたら、涙目で見つめられた。
あっ、また嫌な予感。
「ひ、姫にはそんなシュミがあったんですね……」
「それ誤解だからぁぁぁあぁぁぁぁあぁ!!!」
「僕はそういうコトには偏見ないので大丈夫、ですよ……?」
「人をSM好きみたいに言わないで!?」
「……違うのですか?」
「全ッ然違うから!」
ユウトくんの誤解を解くために必死で経緯を説明する。
一から説明して、なんとかユウトくんの誤解を解くことは出来た。
そしてポツリと
「先輩たちはアホですか?」
「俺も同感だ」
「……あたしは未だに土下座し続けている三人に感心すればいいのか呆れればいいのか分かりません」
「呆れればいいと思います」
バサリと切り捨てたユウトくんに苦笑する。