運命の人。~俺様教師と秘密の恋~
「…陽…兄ちゃん…?」


身体中も声も震えていて
それだけしか口にできなくて


「将人かと思ったか?
残念だったな。
あいつは夜中に起きてきて今は
リビングで寝てるよ」


そう言って妖しく笑う顔は
いつか見たあの日の顔で。



じゃあ今のは全部
陽兄ちゃんがしたこと?

何故こんな事を?


頭の中が混乱して
驚きのあまり声も出ない。


陽一は笑みを浮かべたまま動揺する私をまたベッドへ押し倒した。


「や……っ」

大の男の力に敵う訳もなく
私の身体は簡単に陽一を受け入れた。



ベッドが一層激しい音を響かせる。



……どうしてこんなことするの?



隣の部屋では将人が眠っているのに。

その恋人のすぐ傍で他の男に抱かれている自分がいる。



将人に助けを求めればいい。

大声で叫んで
泣きつけばいい。

だけど何故か
それは出来なかった。


私には陽一の手を
振り解く事が出来なかった。






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