運命の人。~俺様教師と秘密の恋~
足を引きずって人気のない場所を探して、
裏庭に辿り着いた。
体育祭でグラウンドに人が集まっているからか、今日はいつにも増して更に人気がない。
「…少し走りすぎちゃったかな…」
壁にもたれかかりながら、
ペタンと力なくその場に座った。
「何怒ってんだよ」
…ドキン
ぐったりとしていた私の背後から
いつものぶっきらぼうな声がした。
「………陽一
………なんで………」
一番見たくない顔、
でも何故か
一番落ち着く声。
「足出せ、テーピングしてやる」
陽一は私の前にしゃがみこむと、
否定するまもなく右足を掴んで
そのまま靴下と靴を脱がせた。
「あーぁ、
また赤くなってきてんじゃねぇか」
言葉は相変わらず悪くても丁寧にやさしくテーピングを巻き直してくれた。
「…あんまり無茶すんなよ。
長引くぞ」
「小宮先生と…どういう関係なの?」
「何?ヤキモチ?」
その言葉に肯定も否定もせずに
真っ直ぐ陽一を見つめて
彼の言葉を待った。
「……」
そんな私に陽一は静かに
……唇を重ねる。
陽一とのキスも何度目だろう。
陽一の温度を感じて
ドキドキして、
………ズキズキする。
この胸の痛みの意味。
その答えを
私はもう持っていて。
でも認めるのが怖くて
気づかないふりをしているんだ……。