運命の人。~俺様教師と秘密の恋~
「はい。…俺」
『いきなり電話してごめんなさい。
昨日も今日の別れ際も
調子悪そうだったから心配で…。
今からでもそっちに行ってもいい?』
陽一の耳元にあるスマホが私にも近くて、
聞きたくなくても会話が聞こえてくる。
その内容にまた
私の心は簡単に傷ついて。
昨日から小宮先生と
一緒に居たの?
「いや、別に調子悪くねぇよ」
『あんまり無理しないでね。
貴方いつもいつも無理するんだから……』
「じゃぁ、また明日な」
一通り会話を終えると、
陽一はスマホを棚の上に置いた。
「……昨日から……
小宮先生とずっと一緒に居たの……?」
聞かずにはいられなくて
小さく震える声で
陽一に疑問を投げ掛けると
陽一は静かに笑った。
「将人が居るくせにお前だって俺と今こんな事してるじゃねぇか」
「ちがっ…
もう将人とは別れたの…!」
将人と別れたことをやっと伝えると
何故か陽一の表情が曇った。
「…なんだって?」
そう聞き返してくる陽一を
真っ直ぐ見つめて
「…陽一の事が…好きだから…
陽一が私の事からかってるだけでも…
私は、陽一が好きって気づいたから」
私の中に生まれた大切なこの気持ちを陽一に偽りなく伝えた。
自分のこの気持ちを大事にするって決めたんだ。
陽一が私を好きじゃなくても…。
緊張からなのか私の声も体も震えていて
…だけど
やっと伝えることが出来た。
私の気持ちを聞いた陽一は、
俯いてはぁ、と小さな溜息を吐いた後
「…馬鹿な女」
そう言って私を抱きしめた。
そして
私たちは一夜を共にした。