君の隣でクリスマスを祝う
「今日はごちそうさまでした。楽しませていただいて、新作も書いていただけるなんて何だか申し訳ない気が……」

 日向が選んだイタリアンワインに軽く酔いが回り、私は陽気だった。

 支払いは知らぬ間に日向が済ませていた。プライベートの日向はどこまでもスマートだ。

 ……きっとモテるんだろうな。そう考えて、何故だか少し胸が痛んだ。

「木崎さん、まだお時間いいですか? 貴女にお見せしたいものがあるんですが」

「……何ですか?」

「少し歩きましょう」

 日向に促され、暮れ始めた街中を一緒に歩き出す。冷めたい空気に身を竦めると、日向は無言で私の手を取った。

 私は、彼にされるがままだった。

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