君の隣でクリスマスを祝う
「この間貴女に見つかった、あの気象関連の本。あれは、ここの紅葉が一番美しい日自分でを予測するために読んだんです」

 確かに積み上げられていた本の中には、過去の気象データなどを記した物も多かった。前作を出版した後、彼はずっとそんな研究めいたことをしていたのだろうか。

「私は、てっきり次回作で気象予報士の話でも書くんだと思っていました」

「まあ、否定はしません。調べるうちに興味が出てきて、小説に書くことも頭に過りましたから」

 そう言うと、日向は決まり悪そうに人指し指で頬を掻いた。

「でも、書けなかったんです」

 ――デビュー以降、スランプ知らずの日向が、書けなかった!?

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