君の隣でクリスマスを祝う
「……それが本当の交換条件ですか?」

 私たちの頭上に、はらはらと銀杏の葉っぱが降ってきた。今にも沈みそうな夕陽に照らされて、黄金色に輝いて見える。

「そうです。だって僕は貴女がいないと何も書けないのだから……」

「そんなの、私に選択肢はないじゃない……」

 クスリと日向が笑い、その端正な顔を私へと近づけてくる。

「貴女ほど優秀な担当は居ません。いつだって僕の為に直向きに尽くしてくれる。手離せなくなったとしても、仕方ありませんよ」

 彼の冷たい手が、そっと私に触れる。私は、落ちてきた日向の唇をそっと受け止めた。

 北風に煽られた黄金色の葉っぱたちが、重なる私たちの姿を覆い隠してくれた。


fin

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