君の隣でクリスマスを祝う
 日向の手のひらが、名残惜し気に私の肌の上を滑る。

 未だ行為の余韻が残る身体は、たったそれだけの刺激にすら悲鳴を上げる。

 これ以上は耐えきれないと私が抗議の視線を送ると、漸く彼は私から身体を離した。

 私の頬をするりと撫で、日向はサイドテーブルに置いていた眼鏡をかける。床に落ちた上着から煙草を取り出すと、黙ってそれに火を着けた。

 日向は、人前では決して煙草を吸わない。彼のそばにいても、残り香が香ることもない。

 おそらくは、彼が喫煙者であるということを誰も知らない。

 日向は私にはプライベートを隠そうとしない。そのことが、私の気持ちを浮き上がらせる。

 彼は、私以外の誰にも、自身を明かそうとしない。だから私も、彼に問いかけるようなことはしない。

 彼に必要とされている。

 そのことは、ふとした瞬間に伝わってきて、それだけで私はこんなにも満ち足りてしまう。

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