君の隣でクリスマスを祝う
 装飾のほとんどない殺風景な日向のマンションの寝室に、一枚だけ写真が飾ってある。

 どこか北の方の、寂れた港町。人気のない漁港を写したその写真は、凍てつく空から舞い降りる雪で一面を覆われている。

 日向に似ている、と思う。

 その風景は、誰の侵入も許さない、冷たい気高さで満ちている。

 きっと、私の他にこの写真の存在を知るものはいない。

 彼はこの部屋に決して誰も入れたりはしない。

 彼のそばにいることを許されているのは、唯一私だけだから。

 だから、この写真の存在は、ずっと私の胸の中に仕舞ってある。

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