君の隣でクリスマスを祝う
「カーテン締めますね」

 モスグリーンの遮光カーテンを閉めると、背後に彼の気配を感じた。

「送りますよ。もう暗い」

 まだカーテンを握ったままの右手を、彼がその大きな手のひらでそっと包み込んだ。

 部屋の中はよく暖房が効いていてとても暖かいのに、やはり日向の手はヒヤリと冷たい。

 それでも、重ねた手のひらから伝わる彼の想いに言い知れぬ安堵を覚え、私はそっと目蓋を閉じた。

 ……ふっ、と彼の吐息が耳元を擽る。

「先生?」

「……行きましょう」

 暫く私を見つめた後そう呟くと、日向は再び私の手を取った。

「はい」

 私は、彼に手を引かれるまま、十二月の宵闇の中へと足を踏み入れた。

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