君の隣でクリスマスを祝う
 彼に心の中まで見透かされたような気がして、私は恥ずかしさのあまり、襟元に巻きつけていた濃紺のストールに顔を埋めた。

「別に、責めているわけではありませんよ」

 日向が更に微笑みを零した気配がしたが、照れくさくてまともに彼と目を合わせられない私は、そのまま視線を夜の街へと向けた。

 再び、音もなく日向の車が夜の交差点を滑り出す。
 
 車窓から広がる景色は、彩りを失い何処か寂しげな銀杏並木から、賑やかな繁華街へと変わっていた。

 昼間とはまた違う雰囲気で賑わう十二月の街並みを眺めていると、自然と気持ちが浮き立ってくる。

 通りの両側を無数のブルーライトがゆっくりと明滅している。

 ――クリスマスはもうすぐだ。

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