君の隣でクリスマスを祝う
 思わず彼の剥き出しの手を取った。

 ああ今日も、彼の手はこんなにも冷たい。

「十分ほど前に来たばかりですよ」

 先に店に入らないで待つのは彼の優しさだ。でも今日の寒さは、きっと心まで凍てつかせる。

 私のことなんて構わずに、暖かい場所で待っていて欲しかった。

「木崎さんの手は、あたたかいですね」

 日向が私の手を頬に引き寄せた。まるでぬくもりを味わうように、静かに目蓋を閉じる。

「早くお店に入って、温かいものを飲みましょう」

「……そうだね」

 いつもは私の手を引く日向の手を取り、私がカフェのドアを開けた。


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