君の隣でクリスマスを祝う
 あっという間に丘を登りきり、日向は教会の前の駐車スペースに車を停めた。

 車のバックドアを開けると、トランクの中に大きな紙袋が二つ置いてあった。金や赤のリボンや、カラフルな包装紙が袋の口から覗いている。

「すごい数。ほんとにサンタみたい」

「ひげは生えてませんけどね。さあ、行きましょうか」


 左手に一つ袋を提げ、右手を日向に引かれ、雪の合間の小道を歩く。ずっと暖房の効いた車内にいたのに、彼の右手はもう熱を失っていた。

「先生の手、もうこんなに冷たい」

「木崎さんの手まで冷えてしまいますね。すみません」

 謝って欲しいわけじゃない。繋いだ手に指を絡めて、私の手もろともコートのポケットに押し込んだ。

「木崎さん?」

「これで少しはましなはずです」

「……ありがとう」

 照れくささを打ち消すように、少しぶっきらぼうに私が言うと、日向が眼鏡越しに目を細めたのがわかった。


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