君の隣でクリスマスを祝う
「何年ぶりかしら」

「すみません、なかなか時間が取れなくて」

「仕方がないわ。薫くん、すっかり売れっ子の作家さんなんだもの。いつも本を送ってくれてありがとう。おませな子たちは、皆あなたの小説を読んでるわ。新刊が来ると、いつも取り合いなのよ」

 込み上げるものがあったのか、春日さんは大きく息を吐き出すと、日向をしみじみと見つめた。

「薫くん、あなた本当に夢を叶えたのね。あなたの存在はここで暮らす子どもたちの希望よ」

「今の僕があるのは先生のおかげです。ありがとうございます」

「薫く……」

 言葉を失い嗚咽を漏らす春日さんに、日向は深々と頭を下げた。


 作家になるまで、日向はどうやって過ごして来たのだろう。そこに、春日さんはどう関わっていたのだろう。

 二人は一体、何を乗り越えてきたのだろう。

 何かを聞かされたわけではないけれど、私には、二人は見えない絆で結ばれているように思えた。

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