君の隣でクリスマスを祝う
「おはようございます、木崎です。朝早くから、すみません」

「……おはようございます。どうぞ」

 時計の針は既に十時を指していた。そう早い時間という訳でもないが、私は一応、一言詫びを入れた。日向は起き抜けといったわけでもなさそうだが、仕事をしていた様子もない。

 彼の機嫌を損ねてはいないことに安堵して、私は室内へと足を踏み入れた。

「朝食はもう召し上がりました? 先生のお好きなパンを買ってきたんですけど……」

「いえ、まだです。いただきます」

 今日の日向はいつになくぼんやりとしているようだった。何かを書いている時の彼は、鋭く研ぎ澄まされていような印象がある。きっと、これはオフモードなのだろう。

 この調子では、今の彼に新作を書かせるのはやはり難しいかもしれない。

「キッチンお借りしますね」

 私は気を取り直し、日向のために朝食の用意に取りかかった。

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