シュガーポット
「そうなんだ....」
「唯、京と和珠は?探してるんだけど。」
柚木さんは首をかしげて聞いてくる。
「今、出て行ったばかりですよ。」
言葉を詰まらせる私に代わって恵梨奈が答
えてくれる。
ありがとう....
しっかりと柚木さんを見つめる恵梨が、
すごく頼もしく思える。
「そう。ありがとう。話があったんだけど
な....」
少し残念そうに、柚木さんがいう。
「あ、じゃぁ....これ、どっちかに渡しとい
てくれる?連絡頂戴っていっといて。」
柚木さんは近くにあった紙に携帯の番号を
スラスラと書き、私に渡す。
「はい....和珠たち、神桜を抜けたんですよ
ね....?」
「うん。抜けたよ。でも、抜けても抜けら
れない物があるの。」
悲しそうに涙をにじませる柚木さん。