泥酔彼女
こんな風だからきっと私は、彼に女扱いしてもらえないんだな。
そう言えば彼には、秘書課の女の子と付き合ってるって噂があったっけ。
スマートな彼の隣に立つのなら、確かに秘書課辺りの砂糖菓子のようにふわっとした女の子がお似合いだ。
私がそういう子だったら、お姫様抱っこしてもらえたのかな。
考えたら何だか悲しくなってきた。
勝手に目許が熱を覚えて、零したくないものを込み上げさせてくる。
お酒は涙腺を緩ませるのだ。
彼を見ていられなくなって、私は意気地なしにも視線を外してしまって。
拗ねたように「じゃあ要らない」と横を向いて、黙り込んでしまった。
ふっと部屋に降りた沈黙が、肌を刺すように痛い。
月島はどうして黙っているんだろう。いつものツッコミが来ない。
多分彼は、じっとこちらを見下ろしている。
随分経ってから、彼は掠れた声で漸く言葉を発した。
「……やるよ」
「は?」
「水。欲しいんだろ。やるよ」