泥酔彼女


ひどい飲み会になった。いや、これは自業自得だ。

何やってんだろう私。もう頭抱えていいですか。

居酒屋の座敷を借り切って行われた我が営業部の飲み会で、私、沢村美夕(さわむらみゆ)はこの日、大トラと化していた。

普段、会社では真面目が取り柄の可もなく不可もない大人しいキャラで通しているが、正直言って私は酒に弱く、酒に呑まれる性質で、大変に酒癖が悪い。

もちろん自覚がある以上、社会人として他人に迷惑を掛けない程度に、普段は酒量を抑えている。

だがこの日は。この日だけは…!

昼間回った得意先で、セクハラ親父と名高い禿げ散らかした社長とエレベーターで二人きりになった際、隅っこに追い詰められて乳を揉まれたのである。

巷で人気の壁ドンは、あれは“但しイケメンに限る”なのだと思い知った。

脂ぎった贅肉腹のおっさんにされた所でときめくどころか寒気と吐き気しか覚えない。

まだ入社二年目でキャリアの浅い私は、大人の女ぶってあしらう事も、かと云って大事な得意先の社長に失礼な態度を取る事も出来ず、結果、されるがままに乳を揉まれる羽目になった。

「結構着痩せするんだね」なんて感想まで言われて。

あのおっさん、いつか全裸にひん剥いて逆さ吊りにして蜂蜜塗りたくって樹海に放置してやるからな…!


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