俺様彼女
三木は大きなあくびをして頭をかく。
おっさんかお前は…
「で、その菜奈瀬が何だ?」
俺は靴を履き替えながら質問に答えた。
「なんか俺のツリ目がなんちゃらで…えーっと…つき合ってくれとか」
かすかに三木の眉がぴくりと動く。
「浮気か」
「違いますけど」
「可愛いのか」
「まぁ、それなりに」
「へぇ」
なぜかくるりと来た道を戻っていく三木を、慌てて上履きのまま追いかけた。
「どこ行くんだよ」
「ついてくるな」
「ヤキモチ?」
俺がそう聞くと、ぴたりと立ち止まって振り向いた。
「図に乗るなよ貴様…私がヤキモチなんて妬くわけないだろ!調子乗りすぎなんだ――…」
「ったく可愛くねーなぁ…」
「だったら可愛い菜奈瀬んとこに行けば良いだろ!」
ほらヤキモチじゃん…
「なぁ三木」
俺は三木に近寄って、腕をつかんだ。三木は驚いた様子で、俺を見た。