プリンセスになりませう!?
葵の優先順位は何が何でも一番は九条家の愛華様と命じられているが
今回ばかりはいくら優先と言っても出来る、出来ないはある。
普段から専属使用人として振り回される葵は
替え玉なる大役をこなせる自信は全くない。
頼れるのは本人の愛華様しかいなく…細かいことはその都度彼女に頼るしかない。
「愛華さま、困ったことがあればご連絡をしても―――」と言いかけた時
「今さらながら葵、言わなくても分かっているわよね?
あなたの声で気分を害されたくないの
イライラするのよ
わたくしが戻るまで一切連絡はしないで!
それに、このことは他言無用
屋敷の者にも一切話したらダメよっ」
最後のとどめを刺す一言のように、バッサリと切り捨てられ、
もちろん反論の余地も許されていない。
「スケジュールはこれだから。
ここに書いてるのには全部出席をするのよ
それに、その黒髪で行かないで
今からスタイリストにわたくしと同じ色に染めさせるから。
不本意ながら私の代わりをさせてあげるのよ
外見ぐらいは完璧にして心して私の代わりを務めなさい
バレるようなことがあったら容赦しないわよっ!」
最後はお嬢様らしくない口調でキツく投げ捨てると
予定表を大きな大理石のテーブルに投げ捨て
見るからに質のいい毛皮のファーを肩にかけると踵をかえてカツカツとヒールを鳴らしながら出て行った。