プリンセスになりませう!?
天井から床まで壁はすべて大窓で覆われ、まるで海にに浮いてるような不思議な感覚
景色は最上階だけあって闇に包まれ、周りを包むかのように
色とりどりの夜景が蜃気楼のように煌めき
波のように車のネオンが揺れ
非日常の色目く美しさに思わず不安を掻き立てられた。
『葵、愛華お嬢様に着物が直ぐに必要なりました。
今すぐ持ってゆきなさい』
日本からNYに届けるようにと九条家で長年勤める祖母に言い渡され葵は今ここにいる。
「あなたは自分で着付け出来るでしょ?
明日からそれに着替えて行ってちょうだい、メイクリストは用意してるから」
到着するなり意味の解らない葵に指をさして隣の部屋にいつでもスタンバイしていると告げる。
「着替えるって、あたしが着物に…ですか?」
躊躇してしまうのは当り前だ、総額数千万もする着物に袖を通すって
一体どうして私が?
プリンセスの真似事をさせてあげるって、何が起こっているのか全く話しが見えない。
「相変わらず葵は鈍くてイライラするわね
突っ立ってないでさっさと頭動かしなさいよ」
フライトハプニングで葵の到着時間が大幅に遅れたこともご機嫌を損ねた一つで、
ワガママの彼女には葵が原因でないにしろ自分の予定を狂わされて腹立たしくて仕方がない。