プリンセスになりませう!?
「そのためにプロのメイクを雇っているのよ

日本人なら『ごきげんよう』って微笑みなさい

しつこく話す相手はどうせ自慢ばかりだから。

英語でも問題ないでしょ?

『素敵ですこと、羨ましい限りですわ』って聞き上手になって

臨機応変にすり抜ければいいのよ


私の名前を使うのだから身代わりだからと言って誰かにバレたり、

恥をかかす様な行動したら絶対に許さないから、分かったわね」


ドスの利くような迫力で愛華様に強い目を差し向けられ

『出来ません』とは実際に口にすることは絶対に出来ないし、許されやしない。


確かに二人の容姿も年齢も近くメイクのプロを呼び、着物を着せれば

愛華様をよく知る葵は打ってつけの替え玉だ。



ただ、まくし立てられるように早い会話が憂鬱と不安を掻きまぜて

渦巻きのように彼女の言葉がぐるぐる回り思わず不安に目が眩んだ。




「レオ様がNYにいたら話は別なのに―――

全く 面白くないわ」

せっかくお逢いできると思ってきたのに、と

愛華さまが夢中になられているレオ様とは日本と祖父にアメリカの血を持つクオター

引眉目秀麗で有智高才の富豪の御曹司


文句のつけようのないサラブレッド育ちの彼は華やかと言う言葉が良く似合う

彼の高貴で甘い笑みだけなく

神から授かったとささやかれる宝石のような眼に見つめられると

誰もが恋に落とされると言われている。

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