プリンセスになりませう!?
「あら、なにか文句あるのかしら?」

葵が十分に困惑しているのを知っているのに

まるで私が間違っているの?とでも言う不本意な言い方だ。

それもかなり不機嫌な言い方で。


文句はあるに決まっている。

年末年始を優雅に遊んで凄す愛華様と違って葵には日本で仕事がある。

今回だって仕事から戻るなり直ぐにNYに行かされた。


九条家が経営するデパートや病院で通訳や翻訳をする葵には

明日だってまだ仕事がある。


それなのに愛華様に振り回されて今回も中途半端になることが目に見え

職場の人たちがいつものごとく噂するのが聞こえてくる気がする。

『立花さんはいつも仕事は適当よねぇ~

お嬢様のお付と言うだけで特別待遇だからいいわね。

九条家に棲ませてもらってるのでしょ? ホント、羨ましいわね』

顔は笑いながらも言葉に皮肉や嫌味を十分の含んでいることぐらい解かっている。


いつも迷惑をかけて引け目を感じている

だからこそ一生懸命取り戻そうとしても

不意に呼び出しがかかると結局は仕事を投げ出す形になり、

戦力外扱いにされ孤立した立場になってしまい

職場では敵は多く見方は皆無に等しい。



祖母が毎日葵に言う言葉

『九条家の繁栄の為に生きなさい』


それが葵にとって優先しなければいけないのだから仕方がない…


そんな葵の気持ちも知らず愛華様は相変わらず自己ペースで話しを進める。

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