陽のあたる場所へ
「で、偶然、二人共、東城大学に入学することになり、でも学部も違うし、接点がないので、会うこともなくなり、お互いに平穏な日々を送ってたんですよ。
ところが…」
「あ~…久留宮がミスに選ばれたから、また妬まれちゃったとか?そういうこと?」
「多分。しかもその学祭のミスコンで、私がミスで、彼女が準ミス」
「やっちまったな。微妙に張り合えるレベル同士だと、余計にムカつくんだろうな」
「それからですよ。合コンで私を気に入ってくれた人とか、私に彼氏ができたりすると、その人に私の悪口を吹き込むとか。
ミスになったのも、いろんな男に色目使って票稼ぎをしたとか…何か触れ回って噂を流していたみたいで」
「ひぇ~…女は怖ぇな」
「私はそういうグチャグチャしたの嫌いなんで、直接文句言うこともしなかったし、分かってくれる人は味方してくれたんで、それでいいと思ってたんだけど」
「そっか~…久留宮、お前見かけによらず、偉いぞ」
沙織は、うんうん、といずみに向かって頷いてみせる。
「見かけによらず、は、余分!」
それを聞いて、沙織は慌てて今度は吉沢に向かって頷く。