陽のあたる場所へ
「この原稿!誤字脱字が3箇所!アナタはこういうのチェックする立場だよね?
何故、こんな物、平然と出せるかな!いったい何年やってんの?!」
原稿を突き出し、沙織の手の上に叩きつけた。
「す、すみません!」
「それと‥連載エッセイの長瀬楓の原稿まだ?」
「あ、はい、ラストがまとまらないから、もう一日待って欲しいと…」
「何言ってんだよ!
もう出てないと、イラストとのレイアウトもあるし、印刷に間に合わないだろっ?
あの人、度々締切守らないらしいけど、あんた、ナメられてんじゃないの?」
傷つく…いつも言葉や行動の一つ一つが…。
「わかった。一緒に来い」
「えっ?」
「これから長瀬楓の所に、喝入れに行って来る。挨拶まだしてなかったしな。海野も同行だ」
龍司はそう社員達に声をかけ、素早くコートを羽織り、ドアへ向かう。
「ほらっ!早く!」
呆然と立ち尽くしていたら振り返り様にそう言われ、沙織は慌てて後をついて行った。