陽のあたる場所へ
いずみは、一人で喋っていたくせに、その合間にビールをグイグイ飲んで、全部話し終わった頃には、泥酔状態になっていた。
今は、テーブルに突っ伏して仮眠状態である。
「海野先輩、すいませんね、こんなことに付き合わせて」
散々絡まれても、吉沢はちゃんと話を聞いてやり、いずみをなだめていた。
その上、私にまで気を遣うなんて、本物の気配り男子だ…と沙織は感心する。
「別に吉沢くんが謝ることじゃないよ。それに、久留宮さん、私、結構好きかも。ちょっと普通の娘と違ってて新鮮だし。何より正直で裏表がない」
「そうなんですよね…確かにコイツ、ちょっとズレてんだけど、憎めないっつーか…。危なっかしいとこもあるし、俺、同い年だけど、何か兄貴みたいな気分です」
「え?愛情とかじゃなくて?」
沙織は、からかうようにニヤリと笑って聞いてみる。
「ばっ!違いますよ!俺が好きなのは…」
「あ、吉沢くんは彼女有りか。吉沢くんもイケメンだし、何より優しいもんね~女子が放っとかないよね」
「あ~~…俺も今は、彼女居ないんですけどね。
でも、こいつと付き合ったりしたら、うちの男性社員達、敵に回す事になるんで、嫌ですよ。
うん、でもまぁ、俺もそこそこモテてるんで、ご心配なく」
吉沢は、少しぶっきらぼうにそう言うと、立ち上がった。