陽のあたる場所へ
「そうですよね?お忙しい方ですもんね。
えっと…海野さん?…でしたっけ?」
「はい」
「もし、ご都合よろしければ、届けて下さると助かるんですけど、どうかしら?」
「はい。河西書店さんですね?何階に伺えば…」
「今日は会社じゃないんです。第一プリンスホテルで打ち合わせしてるので」
「はい、わかりました。これから伺いますので…。それでは」
沙織は龍司の居場所を聞いてメモを取ると、素早く出掛ける準備をした。
「じゃ、光里、ごめん。後はよろしくね。スマホ届けたらそのまま帰るけど、大丈夫だよね?」
「了解!ご苦労様。じゃ、明日ね」
手を振る光里に笑って応えると、沙織は事務所を後にした。