陽のあたる場所へ
「龍司さん、待たせてて時間がないので、単刀直入に聞きますね」
…何?この含みのある言い方…
「龍司さんと貴女、どういうご関係?」
「…は?それはどういう…。ただの上司と部下ですが…」
「誤魔化さないで下さい。いずみから聞いてるんですから」
「…聞いてるって…何をですか?」
「社内だから隠してるだけで、二人は恋愛関係だと」
沙織は思わず狼狽えた。
…いずみは、自分と龍司の何かを知っていたのか?!
それで、その事実を舞子に突き付けたくて、いろいろ聞き出す為に私に近付いて来たの?…
「でも、私は〝例えそうだったとしても、別れることになると思うわ。私とは結婚前提にお付き合いすることになったんだから〟と言ってやったんです。
社長なんて肩書きの人には、愛人など珍しくもないかも知れないけど、私はそういうの、絶対嫌なんです。だから、今のうちに、ちゃんと別れて下さいますか?」
結婚前提…この人と龍司は既にそういう間柄なのか…
沙織の胸は掻き乱される。