陽のあたる場所へ
「ごめんなさい、ごめんなさい!沙織先輩を巻き込んだりして。
彼女、私に向かって社長とのことを自慢するし、
〝だからもう、いずみは彼のこと諦めてね〟なんて、ハッキリ言われたんで、悔しくて…」
「そんなこと、言われたの?
うん、確かにいずみちゃんの言う通りちょっとヤな感じあったかな…でも、私なら大丈夫。気にしてないから。それに、私もビシッと言ってやったから」
「何てですか?」
「それは内緒。でも、本気で私と社長が恋愛関係だと思ったりしてないよね?」
沙織は、平然とした振りをして、内心恐る恐る聞いてみる。
「本当にごめんなさい!勢いで出任せ言ってしまったんです。相手が沙織先輩なら、舞子も焦るんじゃないかと思って、つい…」
「え?どうして私だと焦るのよ」
「言ったじゃないですか、私にとって沙織先輩は憧れの女性だって。
吉沢くんからも、いつも先輩の話、聞かされてたんですよね。で、会ってみたら、ますますその気持ちが強くなって。
だから私、舞子に対して悔しいってのもあったけど、社長の恋人が沙織先輩ならいいなって本気で思ったんです。それなら、本当に潔く諦められるなって」
「またまたそんなに持ち上げて…」
「そりゃ、私が社長の彼女になれたなら、一番嬉しかったんですけど…。全然、眼中にない感じだったし…」