陽のあたる場所へ
第二章

 ⑩ 告白



三日間、龍司の顔を全く見ていなかった。

ホワイトボードに『出張』のプレート。
いつもなら行き先が書いてあるが、珍しく何の記入もない。

休みなどずっと取れていなかった筈だから、本当なら仕事を調整して、プライベートな時間に充てても良いくらいだ。

先日、初めて会った龍司の恋人、舞子は、〝結婚式の打ち合わせ〟だと言った。
順調に話が進んで、準備にも忙しいのかも知れない。



不在の間、仕事が滞らないように部下へのフォローも完璧な状態だった。

顔を合わせないことで、少しだけ気楽な気分でいられる。
でも、辛くてもいいから顔が見たい。
そんな気持ちが交錯していた。



亮とのことは正直、後ろ髪を引かれている気持ちは、否めなかった。

恋愛感情というものは、意のままにコントロールできない実に厄介なものだと思う。
自分の行き先に、幸せが待っているのか、
逆に苦難が待っているのか、
例え見えていたとしても、自ら苦難の道に足を踏み入れてしまうのを止められないこともあるのだから…。

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