陽のあたる場所へ

龍司はクッと笑うと、面白そうに言った。

「そのボタン押さないとエレベーター動かないままだけど、密室作戦か何か?」

沙織は、ハッと気づき、慌てて1階のボタンを押す。



次の瞬間、腕を掴み引き寄せられ、奥の壁に肩と腕をぶつけた。

何が起こったかわからず、龍司を見上げたと同時に、頭を両手でガッチリ掴まれ、唇を塞がれていた。

驚きのあまり、身動きができない。
いきなり舌を差し込み絡め取られる。
熱い感触と、攻撃的な舌の動き。

「んっ‥ん‥」


あまりに突然の出来事に、一瞬動けなくなった沙織だったが、どう考えてもこの状態はおかしい。
そう思い、彼の胸に手を着き押し戻そうとしたが、頭の中が痺れて来て、うまく力が入らない。

「チンッ!」

静かなエレベーターの中に、乾いた甲高い音が響き、龍司は急に身体を離した。

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