陽のあたる場所へ
何が何だかわからなかった。
二人は順調に愛を育んでいて、近い将来、結婚するものだと思い込んでいたのだから…。
彼女は、いつの日か姉になる人なのだから、無理にでも自分の想いに蓋をしなきゃいけないと思っていたのだから…。
絢音さんにも他に好きな人が?
それが俺だと言うのか?
いや、そんなこと、彼女は一言も言ってはいない。
「龍司くんは?私のこと、やっぱり姉のようにしか考えられない?」
「そりゃ、兄貴の恋人なんだから、そういうふうにしか…」
心の中と全く反対の言葉が出た。
だって、そう言うしかないと思った。
ずっとずっと心の奥底にしまい込んで、頑丈な蓋をして来たんだ…
簡単に外されてたまるかよ…。