陽のあたる場所へ
別れの悲しみってものは、だいたい残される方が背負うものらしい。
去る方はいい。例え淋しさがあったとしても、新しい場所へ行けば新しい出会いがあり、新しい生活が待っていて、前を向くことに必死になれる。
残された方は、いつもの生活、見慣れた景色の中に、そいつだけが居ないことを、思い知らされるのだから…。
そんな自分の想いがあったからこそ、翔平は、見送りは要らない、と言ったのだろう。
翔平を乗せたトラックが、少し先の交差点を左折する時、窓からこちらを振り返るようにして彼は手を振った。
俺がずっと見送っていたのを、確信していたように…。
だから、俺も最後の最後まで、翔平を乗せたトラックが見えなくなるまで、笑顔を作り手を振って翔平を見送った。
……そして、心の支えを失くしてしまった俺は、
また、固く心を閉ざしてしまった……。