陽のあたる場所へ
四月になり、入社式、二週間の研修を終え、仕事が本格始動した。
父との親子関係を考慮して、俺は、支社の方に配属された。
俺は、社長の息子として特別扱いされるのは絶対に嫌だったので、他の社員と同じように振る舞い、寧ろ、どんな雑用でも買って出て、ただ黙々と働いた。
翔平の引っ越しと共に、自分の住む部屋を探し、家には戻らず一人で生活した。
〝社長の息子でありながら、完全に一線を引いた姿勢〟
〝斬新な企画を次々生み出す上に、若いのに実行力がある〟
他のことを何も考えないように、ただ黙々と仕事に没頭していたら、都合の良いことに社内ではそういう評判が立っていたらしい。
重役達も一目置いてくれるようになり、俺は僅か六年で支社長を任されるまでになった。