陽のあたる場所へ

何でも「沙織が担当を外されるかも知れない」と考えた光里が、先回りして社長が行く理由を電話しておいてくれたらしい。

龍司が支社からかかって来た電話を受けている間に、楓が沙織にこっそり耳打ちしてくれた。



「あんたでも役に立つことがあんだな‥
彼女に書いて貰えなくなるのは困る。これからも担当を続けてくれ」

龍司にそう言われて、とりあえず、首の皮が一枚繋がった気がした。

「それ持って帰って、すぐ校閲だ。
俺は少し寄る所があるから、帰りは夕方になると伝えてくれ。
何かあれば電話を」

龍司はそう言い残すと、タクシーに乗り込み、会社とは反対方面に走り去って行った。

< 19 / 237 >

この作品をシェア

pagetop