陽のあたる場所へ
「…ごめんなさい」
龍司の言葉を遮るように、沙織の口から出た思いがけない言葉、そして頬を伝う涙を見て、龍司は言葉を失ってしまった。
「辛かったですね…知らなかったこととは言え、そんな私がいつも社長の目の前にいたなんて…。
私、社長の前から消えた方がいいですよね?」
沙織は無理に笑顔を作ると、決意を込めた目で龍司を見た。
「私、会社辞めます。
仕事しててもミスばかりで全然役に立ってないし…。
これ以上、社長のこと苦しめたくありません」
「…本当にごめん…」
龍司の辛そうな表情に、沙織の胸がギュッと痛んだ。
彼の為に、今 自分ができることは、愛することじゃなく、その気持ちに蓋をして立ち去ることしかない。